小説 高橋是清 第56話 藤田伝三郎=板谷敏彦
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是清が日銀西部支店長に就任して約半年、朝鮮支配をめぐり日清両国が衝突、日清戦争が勃発した。戦費調達のため募集した空前の規模の戦時公債に、国民の応募が殺到した。
日清戦争の間、日本銀行西部(さいぶ)支店がある馬関(ばかん)(現在の山口県下関市)は朝鮮半島への軍需物資輸送の拠点になった。倉庫という倉庫は軍に徴発され軍需物資で満たされた。
また多くの船舶が軍に徴発されたために、わずか目と鼻の先の関門海峡をつなぐ船がなく、九州から本州への物資は門司に停滞した。
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週刊エコノミスト
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