国際・政治東奔政走

日米韓3カ国体制からの「離脱」 “コレグジット”が落とす影=及川正也

安倍晋三首相(左)も韓国の文在寅大統領も大局に立った判断ができるか(大阪市で6月28日)(Bloomberg)
安倍晋三首相(左)も韓国の文在寅大統領も大局に立った判断ができるか(大阪市で6月28日)(Bloomberg)

 韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を8月22日に決め、大きな波紋を広げている。北朝鮮のミサイル発射に関する機密情報を日韓が直接融通し、その漏えいを防ぐこの枠組みは、それぞれ同盟国である米国とともに東アジアでの日米韓の軍事協力を示す象徴だったからだ。

 日米両政府は協定の期限を前に協定を延長するよう韓国政府に繰り返し要求。安倍晋三首相が「信頼関係を損なう対応だ」と語り、米国のポンペオ国務長官が「失望した」と述べ、米国防総省が「強い懸念と失望を表明する」との声明を出して、強く非難した。

『戦争論』を記したクラウゼビッツによれば、情報とは「敵および敵国に関する知識の全体」であり、「戦争計画や行動の基礎」を成すものだ。同じ敵に同盟や緊密な連携を組む国同士が敵の技術や能力、意図に関する機密情報を融通し合うことで共通の脅威認識ができ、だれもが出遅れることなく不測の事態に対処できる。それが情報共有の本質である。

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