「ハマスタ」のキャッシュレス 「auペイ」で生ビールを購入=加藤結花
「auペイ」で生ビールを購入 5Gコンテンツにらみ連携
「キャッシュレス決済への対応は時代の要請」と話すのは横浜DeNAベイスターズの経営・IT戦略部の林裕幸部長。同球団の本拠地・横浜スタジアム(横浜市中区)では、現金のみだった売り子によるスタンド内の飲料販売のキャッシュレス化を「解禁」。スタジアム内のショップ、ワゴン販売など16店舗では「auペイ」によるコード決済を始めた。これは9月末のプロ野球のシーズン終了までの約1カ月間の試験的な運用で、好評であれば来シーズン以降も継続を検討するという。
目玉は売り子からビールなどを買う際にキャッシュレス決済が可能になったこと。売り子にマルチ端末を導入することで、「VISA」や「マスターカード」などのクレジットカード6種類、「スイカ」や「パスモ」などの交通系電子マネー9種類、QRコード1種(auペイ)の計16種類の決済が一気に可能になった。しかしトラブルもあった。
マルチ端末による決済サービスは、9月3日を予定していたが、1週間遅れて10日からの開始となった。同球団の広報は遅れた理由について「マルチ端末の手配が間に合わなかった」と説明したが、「詳細はお伝えできない」と答えるにとどまった。利用者にとっては便利なキャッシュレスだが、端末の操作方法の習熟など現場には混乱も生じる。
現場の負担増も
コード決済がauペイ1社のみとなっているのは、試験的な運用だからだという。横浜DeNAベイスターズとKDDIは、来年春以降の第5世代移動通信システム「5G」の活用に向けパートナーシップ契約を結んでいるという関係性がある。そのためまずは同球団はauペイを選んだが、今後については「お客様の利便性を考えて排他的にはしない」(林部長)としており、他のコード決済事業者のサービス導入も検討するという。
キャッシュレス決済のニーズが高まっている現状に鑑み、「お客様ファースト」を掲げる同球団は引き続きキャッシュレス対応の充実を図っていく。しかし、「管理工数や手間のことを考えれば決済手段をもっと絞りたい。でも、お客様の利便性を考えるとそうはできないでしょう」(林部長)との声も聞かれた。
現場の負担感は大きい。
(加藤結花・編集部)