ブラジル 「木が切れない」環境問題=美代賢志
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アマゾン熱帯雨林で、農地開拓などのために近隣住民が野焼きを行っていることが、注目を集めている。
そもそもブラジルの国民は環境保護意識が薄い。理由は自然林から自宅の植木に至るまで、土地所有者の自己負担で「保護」する必要があるためだ。いったん樹木が一定の大きさまで育ってしまうと、伐採に当局の許可が必要になり、無許可で伐採すると罰金や代替樹木の植林の義務が生じる。
自宅の垣根が隣家のブロック塀を圧迫し始めた知人が、市役所に木の伐採を申請したが、許可が出たのは塀が崩れた後だった。崩れた塀の弁償にかかる費用は、決して安くはない。このような例もあり、サンパウロ市で庭木を植えたがる人は少ない。また、古民家の売買では、規制前に植えられた庭木の伐採が問題視されることもある。このため、暴風雨などを装って庭木を撤去したがる人も多い。
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週刊エコノミスト
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