小説 高橋是清 第64話 大食副総裁=板谷敏彦
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日清戦争後の好景気は続かず政府は日銀に対し公定歩合の引き下げを迫る。ところが日銀総裁岩崎弥之助は応諾せず辞任、後任人事が紛糾する中、是清に副総裁の声がかかる。
明治32(1899)年3月1日、是清は副総裁となって初めて日本銀行本店に出勤した。本店建築現場の事務として臨時の雇われになってからわずか7年での栄達である。
日銀ストライキ事件を経て刷新された重役会は山本達雄総裁、高橋副総裁、三野村利助理事の3人で開催された。事件の結果、第3代日銀総裁川田小一郎が各界からスカウトした人材はあらかた出て行き、是清のライバルたちは一掃されたのである。
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