小説 高橋是清 第65話 四分利付き英貨公債=板谷敏彦
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公定歩合引き下げを迫る政府に反発した岩崎弥之助日銀総裁が辞任、後任人事が紛糾する中、副総裁に抜てきされた是清は、銀行救済のルール是正など数々の施策を始める。
是清が日本銀行副総裁に出世して、赤坂表町の屋敷(現高橋是清翁記念公園)に引っ越した頃、明治32(1899)年6月、日本はロンドン市場で外貨建て国債「四分利付き英貨公債」を売り出すことになった。是清が横浜正金銀行副頭取だった時に欧米出張に出かけて発行の諸条件を探ってきた案件である。
意外に思われるかもしれないが、日本銀行が設立された明治15(1882)年以降、日清戦争直前の明治26年までは、例外の23年を除いて日本の貿易収支は黒字だった。輸出の方が多かったのだ。
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週刊エコノミスト
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