原油輸出国となった米国の死角=市岡繁男
有料記事
米国は100年以上も前から石油大国で、戦前の日本は米国から原油を輸入して日中戦争を戦っていた。1938年に米国の原油輸出比率(輸出量÷生産量)が6・4%もあったのはその痕跡だ(図1)。
その輸出比率を超えたのは78年後のことだった。シェール石油の開発ブームで原油生産量が急増し、2008年から18年にかけて22億バレルも増加したことがその要因だ。これは世界の原油増産量の8割に相当するものだ。
これだけ供給が増えると国内需要だけでは賄えない。15年になって、それまで40年間も続いた原油輸出禁止令が解かれ、18年には輸出比率が約2割まで高まった。名目GDP(国内総生産)の構成項目である財輸出額をみても、石油・同製品の占める割合は03年の2%台から直近は12%に急拡大した。今や原油は米国の主力輸出品なのだ。
残り204文字(全文558文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める