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小説 高橋是清 第68話 日進・春日=板谷敏彦

    (前号まで)

     山本達雄にかわり松尾臣善が日本銀行総裁に就任、日露開戦の資金調達を是清に一任する。戦争となった場合日本が金本位制を維持できるのか、是清は横浜正金の三崎副頭取に調査を命じた。

     明治36(1903)年、暮れも押し迫った12月29日の夜、宴会の最中だった是清は大蔵大臣官邸まで呼び出された。

     夜も更けようというのに応接室には曾禰(そね)荒助大蔵大臣、阪谷芳郎大蔵次官、相馬永胤(ながたね)横浜正金頭取ら首脳たちが緊張した面持ちで額を付き合わせていた。曾禰は赤ら顔の是清を見るなり口を開いた。

    「政府は先頃アルゼンチン海軍から2隻の軍艦を購入することになって契約を結んだ。だが林董(ただす)駐英公使が言うには、横浜正金の手違いでロンドンには余分な正貨(英ポンド)がなく、購入代金が支払えないのだそうだ。このまま契約不履行になると、軍艦が手に入らないばかりか、林公使も英国を立ち退かねばならない」

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