新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online グラフの声を聞く

銀行が背負った二つの過大リスク=市岡繁男

(注)国内銀行(銀行+信託+海外店)と信用金庫合計の業種別貸出残高で、2008年度末からの増減額 (出所)日銀
(注)国内銀行(銀行+信託+海外店)と信用金庫合計の業種別貸出残高で、2008年度末からの増減額 (出所)日銀

 長期にわたる利ざやの縮小で、日本の金融機関は二つの過大リスクを背負ってしまった。一つ目は不動産貸し出しへの傾倒である。日銀によると、国内銀行(含む信用金庫)の貸出残高は2008年度末からの10年間で87兆円増加した(図1)。年率1・65%の伸び率だ。同期間における名目GDP(国内総生産)は年率0・77%増なので、貸し出しはその2倍のペースで増えた勘定だ。

 問題はその内訳で、不動産業向けと個人向けを合わせた「広義の不動産関連貸し出し」が56兆円と、増加額全体の64%を占めている。これに対し、製造業や非製造業(不動産を除く)向けは12兆円しか増加しておらず、残りの19兆円は地方自治体向けや円借款だ。貸し出しが伸びないから景気も浮揚せず、今となっては不動産市況が落ち込まないよう願うしかない。

残り224文字(全文572文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事