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補正・経済対策「まずありき」 見直し求められる予算編成=斎藤太郎

(注)( )内は年平均伸び率。政府支出=公共投資+政府消費+公的在庫変動 (出所)内閣府「四半期別GDP速報」より筆者作成
(注)( )内は年平均伸び率。政府支出=公共投資+政府消費+公的在庫変動 (出所)内閣府「四半期別GDP速報」より筆者作成

 安倍晋三首相は11月8日、経済対策の策定を指示した。台風19号などを踏まえた災害対策、消費増税対策、東京五輪後の景気底上げなどが柱とみられる。

 経済対策を巡る議論で筆者がいつも違和感を覚えるのは、実施すべきかどうかという議論がほとんどなされることなく、規模や中身の議論になってしまうことだ。

 本来、補正予算とは当初予算編成時には想定できなかったような不測の事態が起きたときに編成すべきものである。典型的なのが今年のように自然災害によって甚大な被害を受けたケースで、災害復旧のための補正予算の編成はちゅうちょなく、速やかに行うべきだ。

 一方、足元の経済情勢は海外経済が下振れしていることは確かだが緩やかな減速にとどまっている。国内需要は消費税率引き上げの影響で弱い動きとなっていることが見込まれるが、これに対しては当初予算の段階で大規模な増税対策が打たれている。また、現時点では消費税率が引き上げられた10月以降の経済指標はほとんど公表されていない。政府が重要視するEBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、証拠に基づく政…

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