小説 高橋是清 第76話 ロンドンのバンカーたち=板谷敏彦
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日露開戦が迫る。日本政府は海外での戦費調達を画策、是清を現地に送り出す。ニューヨークに到着した是清に、米国市場で起債せよとの電報が届くがこれを黙殺、ロンドンに向かう。
明治37(1904)年3月23日、是清たちはホワイト・スター・ライン社のセドリック号(2万1035トン)でニューヨークを出発して、31日の午後10時にリバプールに到着した。
リバプールには、横浜正金銀行の山川勇木支店長と同行でトレーニー中の是清の長男である是賢(これかた)が迎えに来ていた。一行は列車に乗ってロンドンへと向かい、以前外債発行調査の出張時に宿泊したド・ケーゼル・ロイヤル・ホテルに投宿した。
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週刊エコノミスト
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