教養・歴史書評

思わず落涙…… 決死につなぐ命のバトン=高部知子

    ×月×日

     いや~。なんだか久しぶりに本を読んで泣いてしまった。『生き物の死にざま』(稲垣栄洋著、草思社、1400円)。この本はゾウ、サケ、セミ、ミツバチなど、生物がどのように「命のバトン」をつないでいくかということに注目した本なのだが、その描き方がなんとも詩的というか、感動的というか……。

     例えば「ハサミムシ」の章。「ハサミムシの母親には、大切な儀式が残されている。(中略)子どもたちを慈しむかのように、腹のやわらかい部分を差し出すのだ。(中略)母親は動くことなく、じっと子どもたちが自分を食べるのを見守っている。(中略)遠ざかる意識の中で、彼女は何を思うのだろう」

     確かに「擬人化」された内容であることは間違いないのだが、それでもグッと涙が溢れてきてしまう。そしてこんな言葉が添えてある。「子育てをすることは子供を守ることのできる強い生き物だけに与えられた特権である」。私にも2人の娘がいるが、こんな視点で子育てを考えたことなんてなかったなぁと思う。たとえどんなに子供が可愛くても育児に疲れることは必ずある。そんな時にはちょっと息抜きに、こんな本も読んでみたらいか…

    残り822文字(全文1306文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    12月1日号

    スマホ・5Gの新王者第1部20 3大携帯会社に挑む楽天 新技術で5Gの主役狙う ■柳沢 亮/浜田 健太郎24 5Gで変わる通信業界 米巨大IT依存が深まる 勝負は「非通信」ビジネス ■石川 温27 インタビュー NEC 河村厚男 執行役員常務ネットワークサービスビジネスユニット担当 「5Gで世界シェ [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事