小説 高橋是清 第78話 ビートンの訪問=板谷敏彦
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露軍マカロフ中将戦死の報を聞いた金子堅太郎は敵将の死を悼み、紳士的な振る舞いが欧米人たちの感銘を呼ぶ。是清が訪れているロンドンでは日本公債がついに下げ止まる。
是清が4月21日に銀行団が出した条件に疑問を持ったのは、ロスチャイルドの仲買人コッホが、100万や200万ポンドぐらいの大蔵省証券であれば自分一人の力でも買えると言ったからだ。
コッホが正しいのならば、もっと金額を増やして私債である大蔵省証券ではなく、
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週刊エコノミスト
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