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小説 高橋是清 第79話 マッケンジー卿=板谷敏彦

(前号まで) 日本の戦時財政は正貨流出が止まらず綱渡りを続けている。ロスチャイルドは少額の私債購入を是清に打診するが、株式仲買人ビートンは公債を発行するべきだという。

 明治37(1904)年4月23日朝9時、パース銀行のアレキサンダー・シャンドが是清のホテルを訪ねた。銀行団が考えている大蔵省証券発行について販売業者の選定でもめていたのだ。

 しかし是清にとっての問題は、そこではなかった。銀行団が提案するように日本は調達金額が小さく返済までの期間が短い大蔵省証券でいくしか方法がないのか、それよりも思い切って金額が大きく返済まで猶予のある公債発行では無理なのか、それが問題だったのだ。

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