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小説 高橋是清 第80話 目論見書=板谷敏彦

(前号まで)

 欧米諸国は日露戦争の趨勢(すうせい)を日本不利と予想する。ロンドンにとどまり資本家や銀行団と戦費調達の交渉を続ける是清は、マッケンジー卿のアドバイスにより公債発行を決断する。

 明治37年4月25日。是清は朝からホテルに籠もっていた。もはや私募ではなく公債を発行すると決めたのだ。深井英五に命じて5年前に日本が外国公債を募集した時の目論見書の写しを取り出させ、2人で逐一文言を確認した。

 目論見書とは株や債券など有価証券の募集や売り出しの際に、投資家を勧誘するために交付する文書で、有価証券の内容を細かく説明した文書である。現代のものほど分厚くはないが100年以上前のロンドンにもきちんと存在したのである。

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