小説 高橋是清 第81話 鴨緑江の戦い=板谷敏彦
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英国投資家は日露戦争の趨勢(すうせい)を日本不利と予想する。日本政府は1000万ポンドの公債発行を決断、ロンドンの是清と深井英五は陸上戦の戦果を待ちながら銀行団との交渉を始める。
明治37(1904)年4月末、ロンドンにいる是清たちが公債発行に焦点を絞って作業を続けている頃、2月に仁川に上陸した黒木為楨(ためもと)大将率いる第1軍は、朝鮮半島を北上し、清国との国境である鴨緑江(おうりょくこう)付近に達していた。
架橋準備や事前の砲戦を経た5月1日払暁(ふつぎょう)、第1軍各部隊は、十分な砲撃による支援の下に攻撃前進を開始した。
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週刊エコノミスト
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