映画 愛国者に気をつけろ!鈴木邦男 「真に善きこと」を追究する右派思想家の無欲な生き様=寺脇研
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ドキュメンタリー映画が元気だ。昔は「文化映画」と称されて、公民館など公共施設でひっそりと上映されていたのが、今や映画館で堂々と公開されるのが普通になった。ドキュメンタリーのリアルさが、観る者を惹(ひ)きつけているようだ。そこには、劇映画のフィクションとは違う、この社会の現実そのものがある。
では、この映画に描かれているのは何か。
鈴木邦男という希有(けう)な知識人のユニークな半生が、彼の生きてきた時代の歴史とともに展開されていく。ルーツは1960年、17歳のときに起きた同年齢の右翼少年・山口二矢(おとや)による浅沼稲次郎社会党委員長暗殺事件だ。それに刺激を受け、大学時代は右派の学生運動で活躍した。卒業後は新聞社に就職したものの、70年に学生運動時代の仲間・森田必勝が三島由紀夫と自決した事件にいても立ってもいられず、自ら政…
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週刊エコノミスト
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