国際・政治ワシントンDC

喫煙年齢の引き上げ法施行 業界のロビー活動が奏功?=中園明彦

社会の議論をよそに広まるばかり(Bloomberg)
社会の議論をよそに広まるばかり(Bloomberg)

 トランプ大統領は昨年12月20日、たばこ関連製品の販売相手の最低年齢を18歳から21歳に引き上げる法案に署名し、即日施行された。実質は、喫煙年齢の引き上げ法案だ。喫煙年齢引き上げは特に新しい議論ではなく、今回の連邦法改正以前から、19の州とワシントンDC、そして500以上の都市が21歳としていた。

 米国人の喫煙率は、政府データのデータ収集が始まった1965年の42・4%から減り続け、2017年には13・7%と過去最低となっている。にもかかわらず、なぜこのタイミングであえて連邦法の改正に至ったのであろうか。

 背景には、ここ数年、電子たばこが特に若年層の間で急速に普及し、呼吸器系疾患などの健康被害、そして多数の死亡が報告され、社会問題に発展しているためだ。特に問題視されているのが、味付き電子たばこだ。フルーツ味のカートリッジは高校生の間で人気らしい。データによると、実に12年生(高校3年)の25%、10年生(高校1年)の20%、8年生(中学2年)の10%が、最近1カ月以内に電子たばこを吸ったと答えてい…

残り859文字(全文1315文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事