高まる世界同時不況リスク 中銀の対応にも手詰まり感=岩田太郎
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市場の大きな関心事である「次の景気後退は近いのか」に関する議論が再び盛り上がり、「米連邦準備制度理事会(FRB)には景気後退と戦うに十分な(金融政策の)弾があるか」という論争が注目されている。
エール大学シニアフェローのスティーブン・ローチ氏は1月27日付の政治評論サイト「プロジェクト・シンジケート」に寄稿し、国際通貨基金(IMF)は、2019年の世界経済が09年の金融危機以来、最も弱い前年比2・9%の成長しか達成できず、10年から18年にかけての平均3・8%と比較してかなり低いと明らかにしたことを引用。「世界の景気循環の観点からすれば、2・5~3・5%の成長率は危険水域であるため、世界同時不況のリスクを真剣にとらえるべきだ」との見立てを披露した。
その上でローチ氏は、「こうした状況にもかかわらず、世界経済には(景気後退時の)ショックを緩和するクッションが足りない。(小康状態になったものの)米国とイランの緊張悪化、米中貿易戦争や、中国の新型ウイルス感染拡大に対する厳重な封じ込め策のような要因が、すでに失速寸前の世界経済を景気後退に追いやる可能性がある」と警鐘を鳴らした。また、世界銀行は1月9日、「過去50年間で最大、最速、さらに最も広範な対…
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週刊エコノミスト
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