ドイツ政府の脱褐炭・石炭政策 州や電力会社への公金投入に批判=熊谷徹
有料記事
ドイツ連邦政府、州政府と電力業界は2038年までに褐炭火力発電所を閉鎖し、褐炭採掘をやめるスケジュールについて合意したが、その内容について激しい議論が行われている。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は1月17日付の紙面で「現在運転中の29基の褐炭火力発電設備の容量1万7170メガワットを14年間で8650メガワットに減らし、遅くとも38年にはゼロにする。26年に電力需給や雇用への影響などを調べて、可能であれば35年に褐炭火力発電所を全廃する。石炭火力発電所の閉鎖スケジュールについては、今後発表される」と報じた。さらに同紙は「政府は、褐炭採掘に依存している地域の産業構造の変革、省庁や研究機関の誘致、失職する中高年労働者の支援などのために、四つの州政府に総額500億ユーロ(6兆円)の資金を払う予定だ」と報じた。
同紙によるとドイツ機械工業連盟は、「脱石炭には巨額の費用がかかるが、秩序だったエネルギー転換と褐炭採掘地域の構造変革のためには、今回の妥協案は最良の物だ」という声明を発表している。
残り910文字(全文1376文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める