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教養・歴史 書評

『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』 評者・上川孝夫

 ◆『スティグリッツ PROGRESSIVE(プログレッシブ) CAPITALISM(キャピタリズム)』

著者 ジョセフ・E・スティグリッツ(コロンビア大学教授) 訳者 山田美明 東洋経済新報社 2400円

米国経済は格差拡大の一途 未曽有の危機に警世の書

 2001年にノーベル経済学賞を受賞した著者の新作である。1990年代半ばにクリントン政権下で大統領経済諮問委員会の委員長を務めた著者は、それから25年たった現在のアメリカを見て、ますます状況はひどくなったと述べている。成長の鈍化、過剰な金融化、そして何よりも格差の拡大である。

 この現在の苦境を、著者は歴史的視点から回顧している。アメリカはこれまで二度、格差が拡大した時期があったという。19世紀末の「金ぴか時代」と「狂騒の20年代」である。前者は南北戦争後、独占企業が台頭し、拝金主義が蔓延(まんえん)した時代だが、連邦議会で独占を規制する反トラスト法などが制定された。後者は熱狂的な株式バブルが起きた時期で、ふたたび格差が広がり、大恐慌へとつながったが、ニューディール政策…

残り795文字(全文1260文字)

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