中国の明暗分けるハイテク景気の波=渡辺浩志
米中摩擦、香港デモ、新型肺炎。中国景気はさまざまなリスクにさらされている。だが、中国の企業景況感を表す「製造業PMI(購買担当者景気指数)」は意外にも底堅い(今後、新型肺炎の影響で強烈な悪化も考えられるが、特殊要因による一過性と予想する)。
背景には、第一に中国の景気対策の効果がある。2018年来の米国との貿易戦争に対抗すべく当局が行ってきた金融緩和や消費刺激策の効果だ。また、新型肺炎に際しても矢継ぎ早に金融緩和が行われた結果、中国の主要株価は急落前の水準を回復している。
だが、景気回復の最大の原因は「中国の産業構造の進化」にあろう。中国の産業別売上高の構成比(図1)を見ると、かつては景気対策に依存したインフラ産業が大宗を占めていたが、最近では外需を勝ち取ろうとするハイテク産業の台頭が著しい。そのため近年の中国のPMIは、ハイテク需要の代名詞ともいうべき世界半導体株価との相関が高まっている。
残り689文字(全文1091文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める