教養・歴史書評

「論語」を知って分かる日本人の価値観の根源=加藤徹

     中国史を学ぶと日本が分かる。

    「2500年前の古代中国なんて今の自分の生活に関係ないさ」と思う人は、守屋淳『「論語」がわかれば日本がわかる』(ちくま新書、880円)を読んでほしい。目からウロコが落ちるだろう。

     孔子、釈迦、ソクラテス、イエス・キリストの「四大聖人」のうち、孔子は特殊だ。酒と音楽を愛し、政治家として人を死刑にした記録があり、一説に離婚経験をもつが現代まで続く200万人以上の子孫を残した。孔子は、人情の機微に通じた「さばけたおじさん」だった。春秋時代末期の下剋上(げこくじょう)と戦乱に歯止めをかけるため、平和な秩序を打ち立てる思想を唱えた。その教えを後世にまとめた書物が「論語」であり、彼の思想から成立したのが儒教である。

     本家中国の儒教はドライだ。「父子天合、君臣義合」という言葉がある。親子関係は天から与えられたものだが、君臣関係は社会の「義」でつながっているだけ。親が馬鹿でも、親子の縁は切れない。上司が馬鹿なら、さっさと転職する。実際、孔子は50歳代で母国を離れ、自分の政策を採用してくれる他国の君主を求めて諸国を放浪した。

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