映画 在りし日の歌 国家に翻弄される夫婦描く “第6世代”監督の静かな抗議=勝田友巳
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中国映画の監督たちは、しばしば「世代」でくくられる。20世紀初め、映画草創期の第1世代から数えて、現在は「改革開放」政策の後に世に出た第6世代。彼らは急速な経済成長から取り残された人々に目を向けたから、しばしば当局からにらまれた。製作資金を自ら集め、当局の妨害を受けながら国際的な評価を高めてきた。
世界的に知られるジャ・ジャンクー監督と比べると寡作だが、ワン・シャオシュアイ監督も代表格の一人。この新作では、国家に翻弄(ほんろう)された一組の夫婦の30年を描いた。
ヤオジュン(ワン・ジンチュン)とリーユン(ヨン・メイ)の夫婦は地方都市の工場で働いていた。同僚のインミンとハイイエン夫婦とは家族同然の付き合いで、息子のシンは、インミン夫婦の息子ハオと誕生日も同じ。ある日ハオと水辺で遊んでいたシンが溺死してしまう。ヤオジュンとリーユンは知り合いのいない土地で、シンの代わりの養子と暮らし始める──。2人が明るい将来を描いた1980年代から、寄り添って暮らす2010…
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週刊エコノミスト
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