教養・歴史書評

『不平等と再分配の経済学』 評者・井堀利宏

     本書は1997年にフランスで初版が刊行され、これまで7版を数えている原書『不平等の経済学』の翻訳である。原書は学生や専門家を想定した読者向けに、不平等に関する標準的な解説書として出版されたものであり、経済学のテキストという色彩もある。

     2013年に出版した『21世紀の資本』で、著者は資本や富の不平等が近年拡大していることを周到なデータで指摘し、世界の注目を集めた。

     本書は、ピケティ氏が不平等を分析する理論的枠組みを解説したもので、資本所得以上に労働所得自体の不平等・格差拡大が問題であり、人的資本の不均衡な蓄積を是正することが重要だと主張する。そして、代表的な再分配の方法として、雇用の強制や賃金の引き上げなど直接的な介入(直接的再分配)と累進的所得税や社会保障給付など間接的な介入(財政的再分配)を取り上げ、間接的な再分配の優位性を強調する。

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