教養・歴史書評

英国人の審美眼による格好の西洋美術史入門=本村凌二

「百聞は一見に如(し)かず」とは、海外に旅行したときしばしば肌身で感じる。スペイン南西岸のトラファルガー岬は、その沖合で、1805年に英国艦隊がフランス・スペイン連合艦隊を撃破したことで名高い。この海戦の敗北で、ナポレオンのイギリス本土侵攻の野望は打ち砕かれた。

 ロンドンの中心部に勝利を記念してトラファルガー広場が設けられた。その北側にナショナル・ギャラリーがある。

 意外なことに、英国人には偉大な画家が少ない。だが木村泰司『カラー版 教養としてのロンドン・ナショナル・ギャラリー』(宝島社新書、1100円)を読むと、英国人の絵画を見る目はきわだっており、西洋美術史の基本的な作品が網羅されていることが実感できる。しかも、絵画の時代背景や流れがしっかりと学べるのだから、ビジネスエリートには欠かせない教養になる。

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