下げ止まらない欧州銀行株=市岡繁男
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「1929年の株価暴落当時、それが恐慌の始まりだと判っていた人は殆(ほとん)どいなかった。人々が恐慌を意識し始めたのは1年後」(高橋亀吉『大正昭和財界変動史』)。翻って現在、国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済は「大恐慌以来、最悪の景気後退」と予測し、安倍晋三首相も「大恐慌時より精神的には厳しい」と深刻な認識を表明した。為政者たちの間では、未曽有の経済危機が起きるとの危機意識が共有されている。
そんな悲観論を否定するのは株式市場で、戻り高値を連日更新中だ。「90年前と違って、万全の措置を施した今回は大丈夫」というのだろう。だが強気筋が集う市場にも弱みがある。それは日米欧の銀行株だ。中でもユーロ圏の銀行株は年初から半値に暴落し、今も下げ止まらない。対ドルでのユーロ安も銀行株の不振が影響している(図1)。
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週刊エコノミスト
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