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教養・歴史 書評

読書日記 大先輩の著書を一気読み 俳優としての力をもらう=美村里江

『役者ほど素敵な商売はない』
『役者ほど素敵な商売はない』

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 今まで共演させていただいた中で、断トツの明るい笑顔の先輩。NHK大河ドラマ「江(ごう) 姫たちの戦国」で、私が演じる細川ガラシャの父、明智光秀を演じられた市村正親さんの著書『役者ほど素敵な商売はない』(新潮社、1500円)。あの楽しそうな笑顔の裏に隠された秘密が知りたくて手に取った。読んですぐに思い知る。名優に秘密などなく、ひたすら芝居を愛し、謙虚な心で入念に準備し、一つ一つの役・作品に取り組んでいるだけなのだった。しかし全てに「思いきり楽しんで」という枕ことばが付く。

 他人へのダメ出しも自分のものと思って聞く。自意識なく集中できる一人居残り稽古(けいこ)が好き。稽古前から自主練しておく。千本ノックしてくれる演出家はありがたい。セリフを覚えるのが好き。次の仕事の準備も好き。仕事は多数重なっても苦にならないし決して手を抜かない。

残り951文字(全文1324文字)

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