教養・歴史 書評 『佐藤栄作 最後の密使』 宮川徹志著 吉田書店 2900円 2020年5月29日 『佐藤栄作 最後の密使』 宮川徹志著 吉田書店 2900円 日中国交正常化は田中角栄首相の功績との印象が強いが、実は前任の佐藤栄作首相時代、密使が水面下で交渉を進めていたという。NHKディレクターが入念な取材で新事実を突き止めた。密使の男性は戦前外務省の嘱託を務め、特務機関とも関係があり、複雑な経歴を持っていた。彼がさまざまなルートを使って中国側の対日関係責任者らに迫り、成果も上げていたが、佐藤の退任表明で役目を終えた。戦後史の闇に光を当てた本書の意義は大きい。(W) 前の記事 5月7~13日(ビジネス/ノンフィクション) 次の記事 アメリカ ブーム再過熱、オバマ夫人自伝の政治的意味=冷泉彰彦 文字サイズ 小中大 印刷