『世界は贈与でできている』 著者 近内悠太さん
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◆著者 近内悠太さん(教育者、哲学研究者)
災厄で気付いた「日常」の尊さ 感謝求めない“無名の行為”
プレゼントという行為は華やかだし、酔いやすい。しかし、自分は気付かないうちに何か受け取っていたようだ、と認識する瞬間の静かな衝撃のほうが、実は決定的なのだということが本書を読めば理解できる。
「電車に乗っている時に東日本大震災に遭遇し、都市のインフラがいかに簡単に壊れてしまうか、痛感させられました。同時に、普段、当たり前に享受している日常って、実は誰かが保守・点検しているからこそ成立しているんだと思い至りました。この頃からずっと『贈与』という言葉を意識していました」
贈与とはお金で買えない何かである。お金で買えるのはサービスだ。対して贈与は、すでに「受け取ってしまっている」という決定的な「遅れ」の認識から出発する。
残り940文字(全文1301文字)
週刊エコノミスト
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