新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

常識破りの問いを立て民主主義を考えつくす=ブレイディみかこ

×月×日

 外出制限が続く中、映画も見飽きたので、Youtubeにあがっているデヴィッド・グレーバーの講演動画を片っ端から見ていた。彼は「アナキスト」と呼ばれる思想の持ち主だが、ロンドンの超名門LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)の人類学教授でもある。ブルシット・ジョブ(どうでもいい仕事)とケア階級の議論などは、まさにコロナ禍の社会を予見していたようだし、約10年前に書いた『負債論』で展開した貨幣論は昨年大きな話題になったMMT(現代貨幣理論)に通じ、この人の思想家としての「早さ」は特筆に値する。

 そのグレーバーが「民主主義」という、近年、多くの人々に失望を与えてきたテーマについて書いたのが『民主主義の非西洋起源について 「あいだ」の空間の民主主義』(片岡大右訳、以文社、2400円)だ。と言っても、あまたの「民主主義は終わった」論や、「民主主義と自由主義は両立不可能」みたいな、近年はやりの議論ではない。

残り935文字(全文1347文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事