米雇用統計が予想外の“改善” コロナ禍前の回復には「10年」 経済弱者の増加で格差拡大へ=荒武秀至
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コロナ禍の影響で悪化が予想されていた5月の米雇用統計は、予想に反し大幅に改善した。非農業部門雇用者数(前月差)は市場予想750万人減少に対し5月実績は250万人増加し、失業率は市場予想19%に対し実績は13・3%と、それぞれ改善した。事前予想とこれほど異なる結果となったのは、統計のゆがみを含めて複合的な要因によるものと考えられる。
第一は、たとえ就業していなくとも給与の一部でも支払われていれば就業とみなされるからだ。5月の米雇用者数(季調前)は1億3746万人、そのうち544万人が就業していないのに給与が支払われているため雇用者としてカウントされている。雇用者ではなく失業者にカウントすれば5月失業率を3・1%押し上げ、実績値13・3%は16・4%になるとの試算を米労働省は発表している。
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週刊エコノミスト
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