教養・歴史学者が斬る・視点争点

生き方充実させる「第3の場所」=石山恒貴

     新型コロナウイルスによって、私たちの生き方、暮らし方は脅威にさらされ、そのあり方が根底から問われている。対面で人と会う機会が少なくなっているからこそ、私たちは人とのつながりをより強く求めていることに気づかされる。そうした中、生き方、暮らし方をより充実したものに変え得る「サードプレイス(第3の場所)」という概念が注目されている。

     サードプレイスとは、米国の社会学者であるレイ・オルデンバーグが提唱した考え方である。家庭(第1の場)でも職場(第2の場)でもない第3の場、という意味になる。サードプレイスとは、英国のパブやフランスのカフェのように、とびきり居心地が良く、なじみの人々に出会えて、「まったり」とした時間を過ごせる場所のことである。ストレスの多い現代社会にとっては、潤滑油の役割を果たすといえるだろう。

     オルデンバーグがサードプレイスを提唱した背景には、米国の都市化が、人のつながりを希薄化させているという懸念があった。米国社会の特徴とは、自動車依存型の都市社会であった。そのため、車で家庭(第1の場)と職場(第2の場)を往復するだけの状態になっていて、サードプレイスが消滅してしまっていたのである。つまりオルデンバーグは、都市化で効率性が優先されるあまり、人々のつながりが希薄化していることに対して警…

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