新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

壊す天皇と造る武家 平安京の盛衰を読み解く=今谷明

 都城制という研究分野がある。藤原京、平城京、平安京など大王(天皇)の居所としての“首都”がどう移転し、諸施設がどう配置され、変化したかを検討するもので、戦前の喜田貞吉以来、長い伝統があった。また都城は、いうまでもなく日本独自の発祥ではなく、大陸での都城の模倣でもあり強く影響を受けている。

 桃崎有一郎著『京都を壊した天皇、護った武士 「一二〇〇年の都」の謎を解く』(NHK出版新書、850円)は、最も長く続いたミヤコである平安京を取り上げるが、対象は都城そのものではなく天皇や上皇の居所である内裏(だいり)・仙洞(せんとう)すなわち宮殿で、従来の研究にあまり類を見ない中世と近世に焦点をあてている。

 巨大な儀礼空間であった大内裏(平安京北部中央)が形骸化し、天皇外戚の摂関家邸宅の一部が“里内裏(さとだいり)”として実質の天皇居所になってくるのは平安中期のことで、大内裏は花見の名所となり、やがて荒廃して“内野(うちの)”と呼ばれ、明徳の乱(1391年)では古戦場となってしまう。

残り520文字(全文961文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事