美術 おいしい浮世絵展~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~=石川健次
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すしに天ぷら、目で楽しむ 江戸の泰平がはぐくんだ多彩な食
子どもが早く食べたくて待ちきれないとでもいうように見上げる目線の先にあるのは、皿に盛られたすしだ。図版に挙げた作品である。エビの握りに玉子焼き、それにサバかコハダと思われる青魚の握りがこんもりと盛られている。どれもこの子が好きなすしネタなのだろう。私ならサバかコハダは良いとして、エビの代わりにイカ、玉子焼きよりはむしろ──おっと、それはともかく、すしは子どもから大人まで幅広く愛されていたのだろうとこの一点でよくわかる。
泰平が続いた江戸時代、すしや天ぷら、うなぎなど今も愛され続けるさまざまな食文化がはぐくまれた。これら多彩な江戸の食文化、食模様を、葛飾北斎や歌川広重、歌川国芳ら同じく江戸が生んだ浮世絵のスーパースターたちの作品で楽しむのが本展だ。
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週刊エコノミスト
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