教養・歴史アートな時間

映画 ぶあいそうな手紙 漂流者の情感を炙(あぶ)り出す映画 平凡な玄関の先に隠し部屋が=芝山幹郎

    (C)CASA DE CINEMA DE PORTO ALEGRE 2019
    (C)CASA DE CINEMA DE PORTO ALEGRE 2019

     独り暮らしの老人が、気まぐれでエゴの強そうな若い娘と出会う。谷崎潤一郎の書いた「瘋癲(ふうてん)老人日記」やピーター・オトゥール主演の「ヴィーナス」(2007年)を思い出すまでもなく、この設定は小説でも映画でも珍しくない。

     ただし、「ぶあいそうな手紙」(19年)は微妙に匂いが異なる。独居老人の性や経済の問題に接近するかに見せながら、巧みにステアリングを切り、意外な場所へと観客を連れていくのだ。

     そもそも、ロケーションが考えられている。ブラジル最南部のポルトアレグレ。サッカーチームのグレミオが本拠地としている都市だが、ウルグアイやアルゼンチンの国境に近く、ウルグアイの首都モンテビデオまでは約700キロ。逆に、ブラジル南部の大都市サンパウロとは、850キロ以上も離れている。

    残り900文字(全文1240文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    12月15日号

    税務調査 コロナでも容赦なし!16 コロナ「中断」から再開 効率化で申告漏れ次々指摘 ■種市 房子19 元国税局芸人に聞く! さんきゅう倉田「手ぶらでは調査から帰らない」23 国税の「最強部隊」 「資料調査課」の実態に迫る ■佐藤 弘幸24 「やりすぎ」注意! 死亡直前の相続税対策に相次ぎ「待った」 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事