教養・歴史鎌田浩毅の役に立つ地学

噴火予知のメカニズム 安全に避難する“時間稼ぎ”/18

 日本列島では火山噴火が頻繁に起きるため、被害を最小限にくい止める目的で噴火予知の研究が進められている。マグマの噴出する「時間」と「場所」を予知するため、地下の状態がさまざまな手法で観測される。

 噴火とはマグマが地下から地表へ噴き出すことである(図)。圧力の高まったマグマは、マグマの通路である火道(かどう)をゆっくり上昇する。火道を埋めている岩石をバリバリと割りながら上がる時に、地震が発生する(B)。噴火が近づくと、地震の起きる位置が浅くなる。

 さらにマグマが地上へ向かう時に山体が膨張し(B)、噴火が始まる(C)。その後、マグマが下へもどる際には山が収縮する(D)。こうした膨張や収縮は極めてわずかなので、山体に設置された傾斜計で精密な測定を行う(A)。水平距離1万メートルにつき1ミリ上へ持ち上がる傾きを測定する、極めて精度の高い技術である。

残り684文字(全文1059文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月13日号

電力が無料になる日 NTT、東電、トヨタが拓く未来14 NTT、東電、トヨタの共闘 捨てる再エネは「宝の山」 ■金山 隆一18 インタビュー 森島龍太・電池サプライチェーン協議会業務執行理事 「電池は国家のエネルギー戦略そのもの」19 電池のリユースは自動車業界の命綱 ■藤後 精一20 EV電池の送 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事