教養・歴史書評

豊かな想像力と時代考証 北宋の悲劇描く傑作漫画=加藤徹

 青木朋(とも)著『天上恋歌~金の皇女と火の薬師~(1)』(秋田書店、600円)は、歴史小説を超えた、新しい趣向の漫画作品だ。

 北宋の宣和(せんわ)5年(1123年)、徽宗(きそう)皇帝の治世。「辺境の蛮族の国」金(きん)国から、かわいらしい姫君が宋の都にやってくる。彼女の名はアイラ。女真(じょしん)族(満洲人の祖先)が建てた金の皇女である。

 アイラは、徽宗の第9皇子・康王(こうおう)との政略結婚のため、兄・ウジュに伴われ、初めて外国にきたのだった。彼女の目には、宋の都の文化や文明が、まぶしく見える。

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