政権の点数稼ぎに利用か ワクチンが政治問題化=吉村亮太
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最近「Anti-Vaxxer」(アンチ・バクサー)という造語をよく耳にするようになった。Vaccine(ワクチン)接種反対派を意味する。日本では学校で出席番号順に並んで予防接種を受けるのが当たり前ゆえ、あまり意識することもないが、少数ながら米国にはワクチンを忌避する人たちが根強く残っている。ワクチンは、ヒトの免疫能力を利用した画期的な感染症予防策であり、多くの人がその恩恵にあずかってきたにもかかわらず、である。
接種を嫌がる理由はさまざまだ。宗教上の理由に始まり、アレルギー体質、副作用に対する不安、製薬会社に対する不信感、「感染症は縁遠い世界の話であって、そもそも必要性を感じていない」という感覚、はたまた「健康という個人的問題まで政府に指図されたくない」という政治的信条などが挙げられる。特に最後の点は、いかにも米国人らしい。公権力に支配されることを潔しとしない自由を求めるDNAが独立当初から国民に組み込…
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週刊エコノミスト
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