教養・歴史書評

社会に揺さぶりをかけるアナーキーな作品の魅力=ブレイディみかこ

     英国(や、アイルランド)のティーンから「日本に行きたい。マンガが大好きだから」と言われるようになって久しい。そんなときは必ず『ワンパンマン』や『NARUTO』についてティーンたちから熱く語られたりするのだが、彼らが筑摩書房の『現代マンガ選集』を読んだらどう思うだろう。

    『現代マンガ選集 表現の冒険』(中条省平編、ちくま文庫、800円)収録の佐々木マキ「かなしいまっくす」のクールさにまずやられた。グローバリズムという全世界スターバックス化とは違う、異質な者たちが均質化されなくてよかった時代の無国籍主義がここにある。国籍がないということは、いっぱい国籍があるということだ。それでよかったのだ。だからとびきり格好いいものが生まれた。

     西岡兄妹の「林檎売りの唄」もベルギーのマグリット美術館にこっそり置いてきたくなる(ぜったいウケると思う)ほどの芸術作品だし、月刊漫画誌『ガロ』が掲載していた漫画の芸術性とエッジ――さは、今見るともはや神々しい。

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