偏差値や知名度ではわからない……学生の「面倒見が良い大学」ランキングを公開 不動の1位はあの大学だった
2021年度入試がどうなるのかは、全くの未知数だ。大学入試改革元年である上に、新型コロナウイルスの影響を受け、大波乱が起こる可能性がある。その兆候は、大学通信が例年実施している全国の進学校の進路指導教諭へのアンケートの結果に表れている。
「面倒見が良い大学」トップは16年連続で金沢工業大となった。5位までは昨年と変わらない。だが、10位以下のランキングにちょっとした異変があった。大規模大学が順位を上げたのだ。例えば中央大は昨年の48位から14位、立教大は86位から18位へと躍進している。近年の大学の取り組みが評価された結果とも言えるが、今回はなんといってもやはり、コロナ対策(予防対策、講義対策、テスト対策、就職支援など)に注目が集まっているのは間違いない。
大規模大学の中でも、立教大はかなり早い段階でオンライン授業を導入すると発表している。中央大も3月には「学生支援指針」を公表し、4月1日にはオンライン授業への切り替えを公表した。その後の奨学金などの経済的なサポートについての公表も、評価を上げた理由だろう。今年はオープンキャンパスの中止などで、受験生が大学から得られる情報が著しく不足しており、「各大学のコロナ対策が、受験先を選ぶ上で重要な要素になる」(公立校の進路指導教諭)という。
さらにこの「面倒見が良い大学」を地域別に見てみると、昨年より順位を上げている地元大学が数多く見られた。「北海道・東北地区」では昨年20位だった八戸工業大(青森)が3位に、昨年17位だった東北公益文科大(山形)が5位になっている。「中国・四国地区」では美作大(岡山)が20位から3位へ、島根大(島根)が32位から4位に浮上した。全体的に、地元大学の評価が上がっているのだ。
「推薦入試充実」を評価
アンケートには、「生徒に人気のある大学はどんな大学か」という質問項目もある。1位は10年連続で「自分のしたい勉強ができる大学」で79・3%。次いで「社会的評価・イメージが良い大学」が61・6%、「知名度が高い大学」が57・1%だった。その次は「家から通える大学」は55・3%で、昨年よりポイントアップした。まさにコロナの影響だろう。今年、もっとも不安を感じていたのは、都会の大学に通う子供を一人暮らしさせている親だった。来年は家から通える地元大学の人気が高まると予想されている。
「資格が取得できる大学」「就職に有利な大学」の割合も上がり、コロナ禍の景気後退で就職が厳しくなることへの不安感が読みとれる。
また、「受験生に受け入れられている改革」について聞いたところ、1位は「キャリア教育など就職支援」で47・5%。2位は「学校推薦型選抜・総合型選抜の充実」の36・8%で、昨年の5位から急浮上した。実際の現場でも、「コロナの感染拡大が懸念される冬場を前に、早めに合格を得ておきたい」という考えから、学校推薦型選抜や総合型選抜の募集枠に希望者が殺到している。
(安田賢治・大学通信常務取締役)
(本誌初出 2021年度 面倒見が良い大学 トップは不動の金沢工業大 コロナ対応で中央、立教が浮上=安田賢治 20201013)