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小説 高橋是清 第113話 伊藤博文=板谷敏彦

(前号まで)

 日露戦争に関わるファイナンスを終えた是清と深井英五。是清の秘書役を務めた深井は、日本銀行の業務を広く経験したいと、営業局への異動を懇願する。

 明治40(1907)年9月16日、これは是清が男爵を叙爵される1週間ほど前のことだ。

 この日、渋沢栄一は韓国統監の伊藤博文を飛鳥山の私邸に招待した。伊藤の他には統監府武官村田惇陸軍少将、統監府会計課長児玉秀雄、水町袈裟六大蔵次官、荒井賢太郎主計局長、松尾臣善(しげよし)日銀総裁に副総裁の是清が呼ばれていた。

 渋沢はなぜ、韓国統監府と金融財政関係者の重鎮をもてなす必要があったのだろうか。

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