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小説 高橋是清 第115話 日銀総裁=板谷敏彦

(前号まで)

 日露戦争に関わるファイナンスを終えた是清。柳子と品子、二人の妻に加え高橋家に入っていた鈴木直子は次女喜美子を産む。長女和喜子とは18歳の年の差だった。

 是清はペルーでの銀山開発に失敗した後の明治25(1892)年に、本店建築現場の事務として日本銀行に入行した。入行は当時の川田小一郎総裁直接のスカウトではあったが、是清にはどうしても山師だという評判がつきまとい、最初は正行員ではなく臨時雇いの身分だった。

 ところが是清が現場でいろいろとアイデアを出して実績をあげると、翌年には早くも下関の西部(さいぶ)支店長に抜擢(ばってき)された。当時の日銀には大阪と西部の二つの支店しかなかったが、その一つだった。

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