映画 パピチャ 未来へのランウェイ 武器は力でなくファッション 因習と闘うしなやかな女性たち=勝田友巳
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こっそり寮を抜け出し、大人びた服に着替えて化粧も決めて、夜の街に繰り出す2人組の女子大生。どこにでもありそうな年頃女子の光景だが、車の行く手に検問所が見えてきて空気が変わる。2人組の表情がこわばり慌ててヘジャブ(ムスリムの女性が頭や体を隠す布)で顔を隠す。検問所の武装した男たちは銃を突きつけて誰何(すいか)する。舞台は1990年代のアルジェリア、内戦下でファッションデザイナーを目指すネジュマが主人公である。
背景にあるのは、軍部主導の政権とイスラム原理主義勢力の抗争だ。情勢は不穏だが、大学は自由な雰囲気が残っている。ネジュマや友人のワシラはおしゃれを楽しみ、ヘジャブをかぶりお祈りを欠かさないサミラも屈託がない。しかしその日常にも、不吉な影が迫っている。
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週刊エコノミスト
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