週刊エコノミスト Onlineコレキヨ

小説 高橋是清 第118話 明治の終焉=板谷敏彦

(前号まで)

 中国では辛亥革命により清朝が終焉(しゅうえん)、日露戦争後のインフレに苦しむ国内では、日銀総裁である是清が通説の貨幣数量説に異議を唱え物議をかもしていた。

 明治45(1912)年は、明治時代最後の年であり大正元年でもある。第2次西園寺内閣は正貨危機の中で行政改革を行うべく粛々と作業をしていた。大ざっぱに言えば、日露戦争でロシアを倒し、日本はひとかどの国にはなったが、その時にできた借金を返さなければならなかったのだ。

 7月20日、国民に向けてかねてより病気だった明治天皇が重体であるという発表があった。警視庁はこの日、予定されていた両国の川開きの花火大会を中止させた。

残り2450文字(全文2742文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事