教養・歴史アートな時間

舞台 世田谷パブリックシアター 現代能楽集Ⅹ『幸福論』 ~能「道成寺」「隅田川」より=濱田元子

瀬戸山美咲(左)と長田育恵(右)
瀬戸山美咲(左)と長田育恵(右)

コロナ禍で揺らぐ「幸福」の概念 能楽を翻案した現代劇で問う

 14世紀に観阿弥・世阿弥父子によって大成され、鎮魂の芸術ともいわれる能楽。歌舞伎に比べなじみが薄い感もあるが、戦に敗れた恨みや恋の妄執、老いや親子の情といった物語は、現代に通じる普遍的なテーマにあふれている。

 その能・狂言を素材にして現代演劇を創作する「現代能楽集」シリーズ。第10弾は「幸福論」と銘打ち、気鋭の瀬戸山美咲と長田育恵という同世代の女性演劇人2人がそれぞれ謡曲をベースに戯曲を書き、瀬戸山がその2本を演出する。

「悲しさに共感できるものを選んだ」と2人。瀬戸山は山伏を恋慕するあまり大蛇となった娘を描く「道成寺」を、恵まれた環境にある青年の家庭を軸にした物語に仕立てた。能では怨念がフィーチャーされがちだが、「娘はもともと親から幸せの道を示されていて、それを信じていたけど裏切られたというのが、現代的だと思った。私たちは親だけでなく、外からもいろんな幸せの形を提示されて、そこをなぞっていけば幸せになれると漠然と…

残り855文字(全文1297文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事