週刊エコノミスト Onlineコレキヨ

小説 高橋是清 第120話 大蔵大臣就任=板谷敏彦

(前号まで)

 日露戦争でできた政府の借金で国民の税負担は重く国内に不満の声が渦巻く。護憲運動が高まり大正政変が勃発、第3次桂太郎内閣が総辞職する。

 大正2(1913)年2月20日、第3次桂太郎内閣は護憲運動に伴う騒擾(そうじょう)の責任を取って総辞職した。大正政変である。

 桂は令和元年に安倍晋三首相に抜かれるまで歴代首相在任期間第1位であったが、第3次だけを取り出すとわずか62日間しかなく、終戦時の東久邇宮稔彦親王政権の54日間に次ぐ短い政権であった。 

 失意の桂は間もなく胃がんを発病した。だがこれは本人に告知されることなく、桂は政権への執着を残したまま、この年の10月10日に病死する。65歳だった。

残り2347文字(全文2651文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事