週刊エコノミスト Onlineグラフの声を聞く

RCEPは中国主導の貿易協定=市岡繁男

 11月15日、日本など15カ国は8年越しの交渉の末、「地域的な包括的経済連携(RCEP)」に署名し、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大経済圏が誕生する。アジア太平洋地域の自由貿易協定であるRCEPは、物品・サービス貿易、投資分野や知的財産などで、透明性を高めるルールを規定している。参加するのはASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランドだ。

 日本政府は対中国のけん制役としてインドの加盟にこだわったが、国内産業保護に傾くインドを説得できなかった。ならば米国はというと、こちらも影響力がない。この30年間でアジアの経済勢力図は様変わりとなり、今やRCEP参加国にとって最大の顧客(輸出相手国)は、米国や日本ではなく中国なのだ。しかも一国の輸出全体に占める中国向けの割合は年々増加し、米国や日本向けの比重は低下する一方だ(図1、2)。

残り176文字(全文568文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月6日号

上がる金&揺らぐドル 史上最高値への地殻変動16 米実質金利との逆相関 崩れた背景に中銀の買い ■村田 晋一郎/谷道 健太19 これで分かった! 「金」の基礎知識 Q&A ■池水 雄一 徹底展望 2023年末 金価格の見通し22 2300ドル 非民主的国家が買い増し 西側への不信で分断拡大 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事