新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

歴史書の棚 鍵は自衛隊と警察の関係 50年前の事件の謎を解く=井上寿一

 今年は三島由紀夫の没後50年だった。評者は事件が起きたすぐ近くの中学校に通っていた。その日のただならぬ雰囲気は教室にも伝わってきた。帰宅すると三島ファンの父がかき集めてきた新聞の号外をみせてくれた。1970年11月25日のあの日、本当は何が起きたのだろうか。

 事件の衝撃度の強さから忘れられがちな疑問がある。西法太郎『三島由紀夫事件 50年目の証言』(新潮社、1800円)が指摘するように、なぜセキュリティー管理がもっとも厳格な場所の自衛隊の駐屯地にもかかわらず、刀剣を持ったまま検問をすり抜けて、総監の陸相を人質にとり、手数のかかる方法で自決することができたのかということである。

 本書は裁判記録の精査や関係者へのインタビューに依拠しながら、「七〇年安保」前後の時代状況における自衛隊と警察の複雑で微妙な関係に焦点を合わせて分析することでこの疑問を解く。

残り526文字(全文905文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事