借金で消費する米国人=市岡繁男
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米サザン・メソジスト大学のラビ・バトラ教授は、1999年に出版の邦訳書『大予測・世界経済』で「(1)賃金の伸びが生産性の向上に劣るため企業収益は急増、株価も急騰する。賃金が増えないので生産と消費の需給バランスは借入金増で維持される。(2)その需給ギャップが表面化すると、株価は下落し景気後退は不可避となる」と予測した。その後、(2)は2008年のリーマン・ショックで現実となった。そこで同教授の論拠である(1)のポイントを検証してみた(図1)。
90年3月を起点に、米国の実質ベースの労働者賃金、労働生産性、家計消費支出、企業収益、家計借入残高の推移をみると、実質賃金はこの30年間で10%(年率0・3%)しか増加していない。これに対し生産性は85%(年率2・1%)も改善した結果、企業収益は3・1倍になった。また労働者の実質賃金は横ばいなのに消費支出額は2倍以上になり、そのギャップを埋めた家計借り入れは4・7倍になった。まさに同教授の指摘通…
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週刊エコノミスト
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